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Author:とんび
とんび出版という文芸創作団体の大山三ダース、満天スモッグ、原想一朗による日々の雑記です。

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いしいしんじ講演会
某大学というかウチの大学でやってたのでスモッグ氏と行ってきました。
以下、簡単な要点(メモとってないので適当)。

前日まで北海道にいた(これ)とのことで、少々お疲れ気味のいしい氏。最初はテンション低いのかなと思いましたが、時間が経つにつれステージ上を行ったり来たり身振りつきで講演してくれました。
大竹伸朗氏の展覧会の話からはじまり、芸術についてちょこっと触れ、自身の若いころの話へ。ジャズが好きだったいしい氏はジャズ・ミュージシャンを目指しサックスを購入。シャガールの展覧会を見て「これだ」と思い、画家を目指す。芸大を受け不合格。ポスターとかつくる会社に入って下積みをしつつ再度芸大を目指すが、そこの社長にやめとけと言われる。普通の大学を目指して勉強して京大合格。京都ではいろいろな年配の方々と知り合い、卒業。知人の紹介で東京の会社に就職。仕事をしつつも海外旅行を繰り返し、滞在中の記録を文章で書いてお土産代わりにして同僚等に配っていたところ、その滞在記がめぐりめぐって出版社へ。こうしてデビュー作『アムステルダムの犬』が出版される。あ、作家になろう、と退職願と出したところ、あっけなく受理され退職。以後、しばらく貧乏な時代が続くが、大学時代の乱読で培われた知識を武器に様々なジャンルを書き散らし、ぼちぼち仕事を依頼されるようになる。そんなんでうやむやと作家業で暮らしていましたが、自分の核となる部分が空白なことに気づく。しかし、大阪の実家に戻った際に4歳半のときに書いた物語を読んで開眼。その後は『プラネタリウムのふたご』など次々に大作を上梓するなど活躍は周知の通り。

みたいな感じ。
二時間以上ぶっ続けで喋っていたのでもちろんもっと内容は濃いです。合間合間に笑いを挟むことも忘れないチャーミングな人でした。


創作の現場のことにも時間を割いていてなかなか興味深い内容でした。

氏曰く、小説を書いているときは頭より上の「コトバ」、頭より下のほうにある「コトバ以前」という二つの領域があって、「コトバ以前」の領域のなかで書くべき物語が大きくなるのを待つのだそうです。その書くべきものがある程度大きくなって「コトバ」の領域に顔を出したとき、タイミングを見計らって掴みあげる。あとはその書くべきものの輪郭や中身を慎重に書き出すだけだと言っていました。そして、実際に書く際には、あらすじや構成を決めず、最初の一行に対する反射として次の行そのまた次の行へ進んでいくのだそうです。

さらに興味深かったのが、『みずうみ』を書いた際に体験した不思議な現象。
氏は小説中にあまり固有名詞を使わない(「コトバ以前」で育った物語の形を損なってしまう恐れがあるため)ようにしているそうですが、『みずうみ』の第三章ではいしい氏自身といしい氏の奥さんの名前を持った登場人物が出てきます。これは「コトバ以前」の底のほうから存在が浮き上がってきたのだそうです。
私は最近、「メタフィクションなどでは登場人物の存在のベクトルは下層へとしか向かわないけれど(フィクション内における存在の上下移動は別として)、突き詰めるところまで書けば、この私が生きている現実的世界、もしくは実在的世界まで上昇しうるのではないか」というしょうもないことを考えていたのですが、それに類似する例があったのだと嬉しくなりました。

もっといろいろあったのですが、私の記憶力の限界です。

最後にいしい氏が「この作家は読んどいた方がいいよ」と思う三人。
小島信夫、筒井康隆、大江健三郎だそうです。

主催した立命PENクラブのホームページはこちら

いしいしんじ | 【2007-11-14(Wed) 05:02:58】
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