![]() | 掠奪都市の黄金 (創元SF文庫 リ 1-2) (2007/12) フィリップ・リーヴ 商品詳細を見る |
古代兵器の暴走でロンドンが炎上して二年あまり、トムとヘスターは飛行船を飛ばしていた。だが北の氷原で移動都市アンカレジに拾われたことから、ふたりの運命は急転する。最終戦争で文明が荒廃した遥かな未来。移動しながら食ったり食われたりを繰り返す都市と、それに反撥する反移動都市同盟が争う奇怪な世界で生きる、トムとヘスターの冒険。
二作目のジンクスを打ち破り非常にスリリングな展開。
本屋を三軒はしごしてようやく見つけました。出て半年でこの扱いはどうなんでしょう。
物語は『移動都市』から二年後。今回も波乱万丈、ペニーロイヤルなるうさんくさい教授兼探検家兼小説家を〈ジェニー・ハニヴァー〉号に乗せてしまった事からトムとヘスターの苦難がはじまります。ペニーロイヤルを乗せた〈ジェニー・ハニヴァー〉号は、元の持ち主アナ・ファンを信奉する反移動都市同盟の一派〈グリーンストーム〉から襲撃を受け氷上をさまようアンカレジに拾われます。アンカレジには幼くして辺境伯(一番えらい人)になったフレイア・ラスムッセンという美少女がいて、放浪生活を続けながらも心の奥底で失われた故郷を求めていたトムくんはヘスターをほっぽってフレイアに惹かれてしまいます。生涯手にした唯一の宝物トムを奪われたと感じたヘスターは嫉妬の嵐に狂い罪を犯し、大掠奪都市アルゲンハリスクを動かし、そこに謎の盗賊集団〈ロストボーイ〉、『移動都市』に登場した同盟のサスヤ率いる〈グリーンストーム〉まで絡んで再び歴史が動く……。
解説にもあるように作者は歴史というものを強く意識しているように感じます。史学士見習いに過ぎなかったトムと教養をもたないヘスターが歴史を動かす現場にいると考えるととても愉快な気持ちになります。
400ページにして1000円越えという学術系文庫並のお値段ですが、読んで損はありません。娯楽映画を一本観たと思えば(事実、読後感も読むのに費やす時間も映画のようで)納得できる水準。
世界にちらばった様々な人物の視点からなるエピソードがひとつのかたちをとっていく展開は久々に読書の楽しみを感じさせてくれました。
![]() | 移動都市 (創元SF文庫) (2006/09/30) フィリップ・リーヴ 商品詳細を見る |
60分戦争で文明が荒廃した遙かな未来。世界は都市間自然淘汰主義に則り、移動しながら狩ったり狩られたり、食ったり食われたりを繰り返す都市と、それに反撥する反移動都市同盟にわかれて争っていた。移動都市ロンドンに住むギルド見習いの孤児トムは、ギルド長の命を狙う謎の少女ヘスターを助けるが…。過酷な世界でたくましく生きるトムとヘスターの冒険。傑作シリーズ開幕。
ハリーポッター並に読まれいてもおかしくない面白さ。
写実的なカバーイラストから想像される硬派なイメージを裏切る、王道だけれども実に読みやすい一冊でした。この厚さの文庫で千円は少々値が張る気もしますが。
舞台は遠未来。都市淘汰主義が正義となった時代。
タイトルに偽りなく大小さまざまな都市が移動し、狩り狩られを繰り広げています。
この舞台設定だけでもわくわくするんですが、平凡ながら自分の気持ちに正直な少年、悲惨な過去を持ち顔に傷を負った無愛想な少女、一介の屑拾いからトップに登りつめた男と甘やかされて育てられたその娘等々魅力的な人物が生き生きと物語内を駆け、それぞれ傷つきながらも強く生きていきます。なんというか、へスター(顔に傷を持つ少女)がいいんですよ、へスターが。少年が好きそうな少女とでもいうんでしょうか。アマゾンのレビューに宮崎アニメ云々とありますが、確かに映像的イメージを下敷きに、というより映像化を既に見越して作られている気がしました。私が然るべき立場にあるならば映像化の権利を買い取りたいくらいです。
六年の歳月をかけて書き上げたというだけあって、ラストまで緩みのないストーリーでした。引きも上手く、ちゃんと一冊として完結した上で後の設定につながるような終わり方です。
面白い本を読むときは大抵最後まで息つかずに読みますが、この本は逆にまだ終わらないでほしいと頁を繰る手を止めたくなるような愛着を感じました。
四部作らしいのでとりあえず出てる分を読みたいと思います。



























































