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墓標なき墓場
墓標なき墓場 (創元推理文庫 M こ 3-1 高城高全集 1)墓標なき墓場 (創元推理文庫 M こ 3-1 高城高全集 1)
(2008/02)
高城 高

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大学在学中、雑誌〈宝石〉の懸賞に「X橋付近」を投じ一位入選、江戸川乱歩の絶賛を受けデビューする。以来、「賭ける」「淋しい草原に」「ラ・クカラチャ」などの傑作を発表し、日本ハードボイルドの礎を築いた伝説の作家の作品を集成する《高城高全集》。第一巻は、北海道で勃発した天陵丸沈没事件の謎を、不二新報の支局長・江上武也が追う、著者唯一にして幻の長編。初文庫化。


 ハードボイルドにまったく縁のない私は著者のこともまったく知りませんでした。
 馴染みのない作家の作品を読むときはいつも胸が高鳴りますが、この作品はプロローグの江上とその妻八重子のやりとりの部分だけでがっつり物語に引き込まれ、後はラストまで一気読みしました。
 なんといっても無駄がない文章が特徴的で、抑制された描写が北海道のさらに端の荒涼とした風景を際立たせます。新聞記者江上は時間的にも場所的にも不自然な漁船沈没事件の謎を追い、事件の証人ともなりうる人物を脅したカドで釧路を追われ網走へ飛ばされる事となります。数年後、事件関係者が次々と死んだり消えている事に気づいた江上は再度釧路へ。
 この本に先立って全集の第二巻、短篇集の『凍った太陽』も読んだのですが、そちらも面白かったです。現時点で唯一の長編である『墓標なき墓場』は多少謎解き部分に強引さは感じましたが、人物や背景となる土地は短篇に劣らず魅力的に描かれています。特に終盤に出てくる奈津江なんかは登場の仕方こそ唐突で「あれ?」となりますが、言動がさばさばしてていいキャラクターだなと思いました。
 全集の完結ももちろんですが新作も書いてくれたらなあと期待しています。

高城高 | 【2008-08-04(Mon) 21:03:37】
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