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Author:とんび
とんび出版という文芸創作団体の大山三ダース、満天スモッグ、原想一朗による日々の雑記です。

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巨船ベラス・レトラス
久しぶりに(?)筒井康隆。
単行本で買ったのは初めてかもしれません。

巨船ベラス・レトラス 巨船ベラス・レトラス
筒井 康隆 (2007/03)
文藝春秋

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著者自らが『「大いなる助走」の平成版』と語っているように、文学や文壇の現在をメタ・フィクション的手法を使って描出してみせた一冊。「大いなる助走」が同人・同人誌をメインテーマに据えていたのに対し、ここでは出版社や編集者までを取り込み、現在の文学の衰退、出版不況といった側面を描き出そうと試みています。この小説において主題よりも前に出てきているように見えるメタ・フィクションの方法は、意識的にしろ無意識的にしろ色々な作家が取り入れていますが、筒井康隆はその円熟した手腕でより深いところまで推し進めています。つなぎは唐突なのに違和感を感じさせる前にページを繰らせる力は圧倒的です。
しかし、話が面白いかというとそれはまた別で、佳作の域を出ないような気がします。著者には百歳くらいまで生きてもらって平成が終わったあとも新しい「大いなる助走」を書いてもらいたいものです。

筒井康隆 | 【2007-06-07(Thu) 03:39:02】
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残像に口紅を
残像に口紅を 残像に口紅を
筒井 康隆 (1995/04)
中央公論社

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もしも日本語の「音」が消えていったら。単純だけど実に刺激に満ちた実験小説。
最近お金がないので図書館で借りて読みました。

「あ」が使えなくなると、「愛」も「あなた」も消えてしまった。世界からひとつ、またひとつと、ことばが消えていく。
愛するものを失うことは、とても悲しい……。
言語が消滅するなかで、執筆し、飲食し、講演し、交情する小説家を描き、その後の著者自身の断筆状況を予感させる、究極の実験的長篇小説。


うやむやな表現でなんとなく書いてみました的な最近の身辺雑記の小説に比べて、この小説がどれだけ魅力的なことでしょう。エンターテインメントの要素も少ないし(氏の他作品に比べて)、小説内のルールも厳格に定義されているわけでもありませんが、純粋に美しい作品だと思います。
物語開始早々から娘が消えてしまうわけですが、化粧をする年齢に達する前に消えた我が子に対して、「その残像に薄化粧を施し、唇に紅をさしてやろう」と主人公が独白するシーンでは不覚にもグッときてしまいました。

老いてもなお新しい表現を切り拓いていく著者の姿勢に脱帽です。

筒井康隆 | 【2006-10-19(Thu) 00:47:48】
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パプリカ
パプリカ パプリカ
筒井 康隆 (2002/10)
新潮社

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精神医学研究所に勤める千葉敦子はノーベル賞級の研究者/サイコセラピスト。だが、彼女にはもうひとつの秘密の顔があった。他人の夢とシンクロして無意識界に侵入する夢探偵パプリカ。人格の破壊も可能なほど強力な最新型精神治療テクノロジー「DCミニ」をめぐる争奪戦が刻一刻とテンションを増し、現実と夢が極限まで交錯したその瞬間、物語世界は驚愕の未体験ゾーンに突入する。

映画化記念というわけでもないですが読んでみました。
途中まで何の変哲もないストーリーですがラスト近辺で入り組んでくるのはさすが筒井康隆。設定された時代もわりと最近書かれたのに古くもなく新しくもなく、長く読み継がれるものになっています。しかし、他の実験的作品群に比べたら刺激が足りない気がします。
映画化は楽しみ。こういう話こそ自由に脚色できるはず。

筒井康隆 | 【2006-10-13(Fri) 22:42:43】
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