![]() | 永遠の森 博物館惑星 菅 浩江 (2004/03/09) 早川書房 この商品の詳細を見る |
「ベストSF2000」国内篇第一位、星雲賞、日本推理作家協会賞を受賞した作品。
設定はSF、内容は軽いミステリー。連作の形式をとっているので、探偵小説のシリーズものを読んでいるような感覚です。
地球からおよそ三十八万キロ上空に浮かぶ、オーストラリア大陸ほどの表面積をもつ小惑星、その惑星まるごとが博物館〈アフロディーテ〉である。この未来の博物館には人類が生み出したありとあらゆる芸術品が収蔵されている。そしてこの巨大な博物館は、音楽・舞台・文芸部門の〈ミューズ〉、絵画・工芸部門の〈アテナ〉、動植物部門の〈デメテル〉に分かれ、それぞれが膨大な知識を集積した独自のデータベースを持っている。学芸員たちは脳外科手術によってこのデータベース・コンピュータに直接接続されており、それを駆使して日々、収蔵品の分析、鑑定、研究を行っている。しかし、博物館が各部門に細分化されていようとも、芸術品はそう簡単に部門に選別出来るものではない。しばしば3つの部門間の収蔵品争奪戦や、複雑な用件のたらい回しが起こる。そこで、博物館は、すべてのデータベースに介入できる総合管轄部署〈アポロン〉を設置し、部門間の調停とグローバルな視座からの分析検討を求めた。
主人公の田代孝弘はこの〈アポロン〉の学芸員で、テクノロジーを駆使して収蔵品の秘めたる由来や価値を解き明かす訳だが、謎はいつも一筋縄にいくわけではない。どのように芸術品と向き合えばいいのか。些末な事柄に身を晒すうちに薄れていく感覚。美の代弁者であり、案内人である学芸員と人工知能は、その感覚とどうやって向かい合うべきなのか。それが連作全話を通して問われる。
一応、一話ずつで完結している話ですが、それぞれの話が絡まり合って大きな問いの答を導きだすという連作の醍醐味が味わえる作品となっています。設定からして周到です。未来そして地球から距離を置いた星、三つ巴の各部門、神々の名からとった名前、ラストにようやく姿を現す謎に包まれた主人公の妻、相棒の中年学芸員、そして選民思想が強く生意気でトラブルメーカーの新人学芸員。
設定に弛みがなく、それでいて壮大、けれど内容は学芸員の日常。このバランスが良いです。
![]() | 逆噴射家族 小林克也 (2001/05/25) ジェネオン エンタテインメント この商品の詳細を見る |
ひさしぶりにレンタルビデオ屋へ。
これは面白かった。最近見た中ではダントツ一番。
変人ばかりの家族。ひとりだけ普通に見えるお父さん。けれど徐々にその狂気が露になって……。ラストのカタルシス過ぎるカタルシス。
一種敬虔な気持ちにすら包まれました。といえば言い過ぎでしょうが、ちょっと感動しました。
役者たちの演技も秀逸。オーバーに描かれた登場人物たちは現在でも充分通用する刺激をもっています。ところどころワザと詰めの甘い感じにしてあるところは笑けます。最近のうすらぼんやりしている映画と違ってやりたいことがはっきりしている映画だと思います。
まあ合わない人にはとことん合わないかもしれません。


































































