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とんび出版という文芸創作団体の大山三ダース、満天スモッグ、原想一朗による日々の雑記です。

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夷狄を待ちながら
夷狄を待ちながら 夷狄を待ちながら
J.M. クッツェー (2003/12)
集英社

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静かな辺境の町に、二十数年ものあいだ民政官を勤めてきた初老の男「私」がいる。暇なときには町はずれの遺跡を発掘している。そこへ首都から、帝国の「寝ずの番」を任ずる第三局のジョル大佐がやってくる。彼がもたらしたのは、夷狄(野蛮人)が攻めてくるという噂と、凄惨な拷問であった。「私」は拷問を受けて両足が捻れた夷狄の少女に魅入られ身辺に置くが、やがて「私」も夷狄と通じていると疑いをかけられ拷問に…。



これは面白い。『マイケル・K』もつまらないわけではなかったんですが、こちらの作品はもっと多くのことをやろうとしています。時間軸的にいえばこちらのほうが先に書かれているので、著者は以後、より狭く深くテーマを掘り下げる方向に向かったということになるかもしれません。
話は民政官の独白、手記ののような形で進んでいきます。帝国の辺境の植民地で安穏な老後を過ごすことを夢想する民政官の生活は、小柄でサングラスをかけたジョル大佐が町にやってきたことで徐々に狂わされていきます。民政官は、第三局の連中によって拷問を受けた女を家に引き取り愛情とも同情ともとれる奇妙な関係をスタートさせますが、自らの感情に悩むこととなります。そして再び夷狄征伐の派遣隊が町にやってきて……。
すべて読み終わったとき、タイトルの秀逸さがじわじわと胸に広がっていきます。

J.M.クッツェー | 【2007-05-27(Sun) 14:59:09】
Trackback:(1) | Comments:(0)
マイケル・K
マイケル・K マイケル・K
J.M. クッツェー (2006/08)
筑摩書房

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2003年にノーベル文学賞を受賞した作家J.M.クッツェーの作品。

内戦下の南アフリカ。マイケルは生まれつき口唇が裂けており、それに頭の回転が遅いという理由で学校から追い出され、残りの子供時代を似たような境遇の子供たちが集まるノレニウス学園で送った。学園で学んだ専門的技術により庭師となったマイケルだが、長く働いた公園から一時解雇を申し渡された。手押し車に病気の母を乗せて、騒乱のケープタウンから母親の生誕した内陸の農場をめざすマイケル。

第一章は、南アフリカの大地を歩きながらさまざまな暴力を受け痩せ細っていくマイケルが描かれている。母親は早い段階で死ぬ。遺灰を持って母親を故郷に返してやったマイケルだが、目的を達成しても今度は自らが生きていくという難題をこなさなければならない。畑を耕し種を蒔くが、いつしかそれは食べるための行為ではなくなっていく。マイケルは空腹のなか、ひたすら眠り現実と夢を往き来して限りなく死へと近づいてゆく。

第二章は、マイケルが病人を収容するキャンプに入るところからはじまる。第一章の三人称ながらもマイケルの独白となっていた形式に対し、この章では病院の若い医師が語り手となっている。まったく食事をとらずほとんど何事も語ることのないマイケルに興味を持ち、徐々に惹かれ、理解しようともがく医師の思考を通して読者は第一章のマイケルの行動を新たに考えていくこととなる。

第三章では病院から脱出しケープタウンへと戻るマイケル視点から描かれる。そこでもマイケルは慈善という歪んだ暴力を受ける。

結局、最後まで救いようのない話と言えばそうなのですが、読んでる側はマイケルの内からも読むことが出来るのであまり悲愴感がありません。
マイケルと周りの登場人物の間には常に大きなギャップがあります。それはマイケルを唯一理解しようと努めた若い医師との間にも厳然と存在します。

内戦や人種差別といったテーマについては何も言及できません。が、この小説はそれらの大きなテーマをやり過ごしてもなかなか面白い作品だと思います。マイケルは南アフリカの社会を背景にせずには生まれ得ない人物ですが、ひとりの人間を描いている以上ひとりの人間のドラマとしても興味深く読めます。


NHKにようこそ! NHKにようこそ!
滝本 竜彦 (2005/06/25)
角川書店

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これまで読んだ滝本作品のなかでは一番良かったです。
特に最後のほうの「救いたい。だけど自分はダメ人間だから」という葛藤がもどかしくも共感を呼びます。作者がこれを書いていて苦しかったというのも頷けます。私は二カ所ぐらい爆笑ポイントがありました。

J.M.クッツェー | 【2006-09-07(Thu) 01:25:49】
Trackback:(0) | Comments:(0)
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