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とんび出版という文芸創作団体の大山三ダース、満天スモッグ、原想一朗による日々の雑記です。

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邪宗門
邪宗門〈上〉 / 高橋 和巳
邪宗門〈下〉 / 高橋 和巳

大部の作品でありながら物語性が強いためにぐいぐい読ませます。

たとえ天国の眼前にあろうとも、一人の餓鬼畜生道の徒あるかぎり我らは昇天せじ…。現世で世直しは可能なのか。ありうべき世を求めて権力と相対峙した新興宗教団体“ひのもと救霊会”の誕生から壊滅に至るまでの歴史と夢幻の花をこの世に求めて苦闘した人々を描いた壮大な叙事詩。



時は昭和初期、薄汚い身なりをした少年が、新興宗教団体「ひのもと救霊会」を訪ねるところからはじまる。東北の寒村から母の遺言を守り、教団本部までたどり着いた少年。少年は教団の人々の厚意に触れるが、かつて自らが犯した罪、宗教的精神の欠如といった要因から教団を去ることとなる。そして話は二代目教主行徳仁二郎やその娘たち、教団幹部の人生とともに自在に語られていく。

実際の歴史を下敷きとして(もちろんそのままではないですが)進んでいくので読みやすく、思想が盛り込まれているだけに好きな人はとことん好きな内容ではないかなと思います。下巻の後半、教団の崩壊が描かれていますが、このへんはさすがに無理があります。先を急ぎすぎた印象を受けます。けれども登場人物たちに対する熱い思いが全編を通して貫かれていて、著者の、思想家である以前に小説家であることを確認できる作品ではないでしょうか。もし著者が今も生きていたらどのような小説を書いていただろうかととても気になります。

高橋和巳 | 【2007-05-10(Thu) 23:07:11】
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我が心は石にあらず
いやー年の瀬です。あと一週間ちょいで今年も終わり。
年末は実家に帰らないのでヒマつぶし方法を今から考えてます。
手っ取り早いのはゲームですかね。


やるべきことにも一区切りついたのでジャンジャン本読みたいです。

我が心は石にあらず―高橋和巳コレクション〈8〉 我が心は石にあらず―高橋和巳コレクション〈8〉
埴谷 雄高、川西 政明 他 (1996/12)
河出書房新社

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面白かったです。


会社のエリートとして、組合のリーダーとして、また家庭人として、日々を真摯に生きる“私”がめぐりあった愛。一方、時代は高度成長期に入り、組合と経営の関係は緊迫して行く…。戦後という変化の時代を背景に、愛を凝視し、志の可能性を深く問いつめた高橋文学の金字塔。


「インテリゲンチャの苦悩」の話でもあり、人生の一時期における「愛」を描いた作品でもあります。この小説について書かれた作品論等を流し読みしてみましたが、どうもしっくりきませんでした。なぜかと考えると、論者たちが「失敗」か「成功」かという点で本書を論じているのが納得いかない。確かにたしかにこの話を書くことの意義への疑問や、共感をえられるほどのテーマの掘り下げがなされていない等の批判はわかりますが、「失敗作」であるとの断定は違和感を感じました。ですが、まあその話は置いといて。

とりあえず私はこの本を読んでじーんときてしまいました。
実際、組合運動とは無縁ではないので、主人公の息子に自分を重ね合わしてしまった面もあります。
インテリも過激な人たちも結局は運動家にはなりえないと私は思います。最後に残るのはいたって普通の人々、一時期の感情に左右されない人々です。人生の一時期を切り取った本作はまさにそれだけでインテリのある一面を表現していると思いました。

「愛」という面で見てみれば、やはり少々表層的なことだけに偏っているかなという気はします。


それにしてもこの人の文章は私にとって相性が良いようです。しっくりくるというか、ぴったりというべきか。他の作品もまとめ買いしたのでじっくり読んでみたいと思います。


高橋和巳 | 【2006-12-22(Fri) 03:23:25】
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悲の器
悲の器 / 高橋 和巳
ちょっとずつ読んでいたので意外に時間がかかりました。
おもしろかった。

妻を喉頭がんで失った著名な刑法学者である正木典膳は数年にわたり家政婦米山みきと二人で暮らしていたが、大学教授栗谷文蔵博士の娘・栗谷清子と再婚することになった。ところが米山みきにより地方裁判所に対し、不法行為による損害賠償請求が提起された。長らく法の道に生き、法をもって人を律することを己の学問的信念とする正木典膳は名誉毀損の訴えを起こして戦いを挑んだ。

大体こんな感じの話で現在と過去を往き来しながら進んでいく。
密度の濃い観念的小説だが、むしろ文章そのものは無駄がなく読みやすく思えた。しかし、何時間も続けて読んでいるとちょっとしんどくなってくる。一般に否定的に捉えられる人間の側面を丹念に意識的にあぶり出していく。主人公である正木典膳は日常のなかで「好印象」をほとんど何者に対しても抱かない。観念に対してのみ正対している。日常を「生きる」感覚に希薄な典膳の姿は現代人として共感を生む。けれどもリアリズムに過ぎるこの小説は小説内に現れる典膳の息子や学生を代表する「現代人」にとってはリアルになり得ないのだろうなと思う。
典膳の最後の悲しすぎる一言も結局外に発せられることなく終わる。


大久保町の決闘 / 田中 哲弥
またまた田中哲弥。これはまさに吉本新喜劇的というか舞台的というか。
ほとんど外見とか性格とかを描写しないでも美少女をここまで生き生きと表現できるのはホントすごいと思う。

高橋和巳 | 【2006-06-30(Fri) 01:37:46】
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