![]() | パンク侍、斬られて候 町田 康 (2004/03/18) マガジンハウス この商品の詳細を見る |
![]() | 告白 町田 康 (2005/03/25) 中央公論新社 この商品の詳細を見る |
町田康の作品が好きです。この二冊は単行本で買いました。
『パンク侍』と『告白』の主人公はまったくキャラクターが違うんですが、結局この人の作品の主人公は全員一緒です。と言い切るとまあ危ういので言いません。とにかく町田康の作品を読む場合、多くの読者は登場人物と同化して小説内を歩くことになります。そこで極めて醜悪なやつらと出会ったり、キレイな人と出会ったり、怒りやら同情やらを抱きながら物語を読み、結末で完全に同化して涙を流しそうになります。でも泣かせないところが町田康作品の特徴です。町田康は完璧なエンターテインメント作家である、というと危ういんで言いませんが、ほとんどの人にとって「面白い」と思える作品を書いてます。計算高い作家です。現代人は「感動」に飢えているようなので、作家にとっては「感動」を描くことが多くの読者をつかむ近道です。町田康が本気でそうゆう作品を書いたらおそらくそのへんが涙の海になります。しかし町田康はいつも「やっぱやめた」といって読者を泣かすことを中途でやめます。いやあ実にパンクですね。
みたいな感じで私はエンターテインメントと芸術の境界を歩くパンク魂をもった町田康の作品が大好きなのです。町田作品に出てくる虚無的な女性たちも大好きです。
![]() | ソラリス スタニスワフ レム (2004/09) 国書刊行会 この商品の詳細を見る |
表紙の裏に書かれたあらすじ↓
惑星ソラリスを探査中のステーションで異変が発生した。
謎の解明のために送りこまれた心理学者ケルヴィンの目の前に自殺した恋人ハリーが姿を現し、彼はやがて悪夢のような現実と甘やかな追憶とに翻弄されていく。
人間とはまるで異質な知性体であるソラリス。そこには何らかの目的が存在するのだろうか。
結論から言えば、目的は存在するかどうかははっきりせず、もし存在しても人間には理解できない、となるでしょうか。
作者レムの言葉を借りれば、この物語を書くにあたって肝要なことは、「存在している何者かとの人間の出会いのヴィジョンを創り出すこと」であったみたいです。
SFとしてはそういう核があればいいのでしょうが読み物としてはそれでは弱い。それでも二回も映画化され、読まれ続けているワケは、訳者が言うように『ソラリス』の多様性・多層性にあります。
確かにミステリー、冒険、恋愛、パロディーといったものが作品内にちりばめられ、読者の読み方によって方向性が決まるといってもいいかもしれません。
どの要素もそれほど深くはないですが、重層的に構成されているから中身が詰まっている印象を受けます。そして作者が意図した「コンタクト」の部分が柱として機能しています。
レムの他作品は読んだことがないが『ソラリス』はバランス感覚に優れた小説です。多少物足りない感がありますが、そこを勝手に空想させてくれる懐の深い作品なので暇な人は読んでみて損はないと思います。
![]() | タイム・マシン 阿部 知二、H・G・ウェルズ 他 (1996/04) 東京創元社 この商品の詳細を見る |
1895年発表のSFの記念碑的作品。
タイムマシンを開発したタイムトラヴェラーは80万年後の地球の未来に着く。そこには二種類の人類の進化生物がいた。華奢で優美なエロイ。醜悪な地下生物モーロック。はじめにエロイを見たタイムトラヴェラーは、その労働もせずずっと遊びに興じている姿を見て、これはユートピアが実現したからに違いないと考える。完全な自由を獲得し逆に退化しているのだと考えた。しかしタイムトラヴェラーは暗闇を必要以上に怖がるエロイたちを見て疑問を感じはじめる。地上のいたるところに開いた穴。怪しいと思い地下へと降りていくと、そこには夥しい数の地下生物モーロックが生息していた。白い体、夜行動物のような大きな目、醜怪な彼らの食事はどこかで見たことのある肉塊だった。
文明批判、進化論への懐疑などいろいろな見方ができる作品ですが、なんといってもすごいのは百年前に書かれたものとは思えない瑞々しいヴィジョンです。終末の描写は壮絶です。やむを得ぬ事情があって読みはじめたのですが、面白くて一気に読んでしまいました。短いのでサクッと読めます。エロイのウィーナとの関係が微笑ましいです。





























































