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とんび

Author:とんび
とんび出版という文芸創作団体の大山三ダース、満天スモッグ、原想一朗による日々の雑記です。

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オンライン古書店やってます。
「とんび書房」
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アイの物語
アイの物語 アイの物語
山本 弘 (2006/06)
角川書店

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何かと評判の一冊。

数百年後の未来、機械に支配された地上で出会ったひとりの青年と美しきアンドロイド。機械を憎む青年にアンドロイドが囁く、「物語から、この美しい世界は生まれたのよ」と。彼女が語り始めた、世界の本当の姿とは?


「アイの物語」というタイトルが効果的です。アンドロイドの名前でもあり、愛でもあり、そしてAI固有のあるものをも意味しています。詳しくは知りませんがばらばらに発表された短篇をひとつの作品としてまとめあげたようです。それぞれの短篇の初出も1997年から2005年までとだいぶ長い期間があり、それに書き下ろし2篇と、インターミッションという間の接着剤を入れて長篇になっています。ひとつひとつの話は軽い感じなのですが、まとまることによって大きな感動を生む効果が出ています。一方で、やはり無理があるというか不自然な部分も見えてきて、長篇にするメリットとデメリットはどちらが大きかったのかなとも思いました。
端々に「と学会」会長である著者の風刺のようなものも見られ、ユーモアとなっていますが、繰り返し出てくるので「もういいよ」と思う人もいるかもしれません。ラストは少々典型的になった感は否めないですが、それぞれの短篇だけでも面白いのでオススメできる作品だと思います。

山本弘 | 【2007-02-22(Thu) 17:22:32】
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愛と癒しと殺人に欠けた小説集
愛と癒しと殺人に欠けた小説集 愛と癒しと殺人に欠けた小説集
伊井 直行 (2006/11/17)
講談社

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タイトルはちょっとどうかと思いますが、面白かったです。

著者自身、小説を「この世の真実を映す、歪んでいるのに真正な鏡」だといっています。
この小説集も平凡な日常を映し出す、まさに「鏡」のような小説が六篇収録されています。

確かに愛も癒しも殺人もそしてオチすらも欠けていますが、なぜか繰り返して読みたくなります。個人的には「スキーに行こう」という短篇がグッときました。文体が実に抑制的で、これぐらいの長さが一番意識的に文章を書けるのかなという気がしました。

伊井直行 | 【2007-02-21(Wed) 03:10:41】
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個人的な体験
個人的な体験 個人的な体験
大江 健三郎 (1981/02)
新潮社

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大江健三郎はこれまで割と意図的に読むのを避けてきたんですが、アマゾンのギフト券があったので買ってみました。

「確かにこれはぼく個人に限った、まったく個人的な体験だ」と鳥はいった。「個人的な体験のうちにも、ひとりでその体験の洞穴をどんどん進んでゆくと、やがては、人間一般にかかわる真実の展望のひらける抜け道に出ることのできる、そういう体験はある筈だろう? その場合、とにかく苦しむ個人には苦しみのあとの果実があたえられるわけだ。暗闇の洞穴で辛い思いはしたが地表に出ることができると同時に金貨の袋も手にいれていたトム・ソウヤーみたいに! ところがいまぼくの個人的に体験している苦役ときたら、他のあらゆる人間の世界から孤立している自分ひとりの竪穴を、絶望的に深く掘り進んでいることにすぎない。おなじ暗闇の穴ぼこで苦しい汗を流しても、ぼくの体験からは、人間的な意味のひとかけらも生れない。不毛で恥かしいだけの厭らしい穴掘りだ、ぼくのトム・ソウヤーはやたらに深い竪穴の底で気が狂ってしまうのかもしれないや」



タイトルの由来と思われる箇所を引用してみました。ストーリー自体は実にシンプルで「自分の子どもが頭部に異常をもって生れてきたことを知らされた父親の悩み」みたいな感じです。文章表現はやはり巧みです。人間業じゃないような小説みたいなものを想像していたのですが、そんなこともなく、この小説に限っては読みやすいともいえるのではないでしょうか。登場人物や構成が有機的に絡んでいきます。
読み終わったあとで思ったのは、影響力の強さです。私が意図的にこの作家を避けていたのは、巷の評判などを聞くに、自分が創作する場合に絶対影響を受けてしまうであろうと思っていたからで、結局「こんなん書いてみたいな」とか「この表現がいい」などと影響を受けてしまいました。

大江健三郎 | 【2007-02-21(Wed) 02:56:03】
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電撃文庫デビュー
ものすごくお久しぶりです。
すいません。パソコンの調子がものすごく悪く、奇跡のような確率でしかインターネットにつながりません。今まさに奇跡が起こりこの書き込みをしているわけですが、画面がなんだかすごくおかしいです。色んなものが大きいです。ま、そんなことはどうでもいいですね。ごめんなさい。

このHPが始まって一周年。もうそんなにたったのか……。私はいつもただただ何かを書いているだけなので、三ダース氏、いつもありがとうございます。そして見てくださっている皆様、ありがとうございます。まだまだいろんなことしますよ!これからもとんび出版をよろしくです。

最近読書がはかどっています。

狼と香辛料 狼と香辛料
支倉 凍砂 (2006/02)
メディアワークス

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三ダース氏からおもしろいらしい、という噂を聞き購入。現在4巻まで出てます。
今まで電撃文庫のこと、正直軽く見てました。なので最初は認めたくなかった。
おもしろいです。見たとおり、娘に耳が生えています。萌え、かと思いましたが、そうではなかった。狼の化身でした。萌えポイントはあまりないです。主人公が商人なので、商売のかけひきなんかも面白いし、設定も魅力的です。ちょっとたまに感情表現の部分で、いまひとつかな、と思うところもありますが、一度読み始めたら止まらないのでやっぱり面白いんだと思います。二巻が一番好きかな。巻数が進むにつれ、挿絵を楽しみにし出した自分に少し戸惑いました。これから他の電撃文庫も読んでみたいです。

夏目友人帳 3 (3) 夏目友人帳 3 (3)
緑川 ゆき (2007/02/05)
白泉社

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新刊出ました。
やはりおもしろい!!ニャンコ先生がとてもツボです。どう考えても、猫としてはビジュアルがおかしいと思うのですが(めちゃ不細工な招き猫)、かわいいです。未読の方はぜひご一読を。

読書だけでなく、創作のほうももっとがんばります。

スモッグの本屋日記 | 【2007-02-18(Sun) 23:53:14】
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記念企画
どうも三ダースです。
ホームページ開設一年半、ブログ開設一周年、ブログ記事100個など諸々を記念して、何か企画をやりたいと思います。
今のところ考えているのは、「満天スモッグ氏とのリレー小説」「古典名作を読む」「新刊文庫を読む」「作品集発行」などです。どの程度実現出来るかわかりませんが、詳しいことはホームページのほうでお知らせするので、暇でどうしようもないときは覗いてみてください。三日坊主の私がここまで続けられたのも、ひとえにここを見てくれている人たちと相方スモッグ氏のおかげです。これからは読書感想だけではなく、創作のほうも本腰を入れてやっていくのでよろしくお願いします。

三ダースの駄文日記 | 【2007-02-14(Wed) 02:51:46】
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砂の上の植物群
砂の上の植物群 砂の上の植物群
吉行 淳之介 (1966/04)
新潮社

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中年の化粧品セールスマン伊木一郎が、偶然知り合った18歳の津上明子に求めるもの、明子に頼まれて誘惑する姉京子に求めるもの、そして妻の江美子に求めるものも、心ではなくただ女体であった。疚しさとも歪んだ心持ちとも無関係な、常識を破るショッキングな肉体の触れ合いの中に、真の性的充足を探り、性の根源にメスを入れた野心的長篇。

巨大な父の幻影に悩ませられる伊木。父を知る床屋の山田の存在が父に対する疑念を深めていく。父は江美子と関係があったのではないか。京子は自分の腹違いの妹なのではないか。
確かに性を描いた小説ですが、本当の軸は父の影響下から脱しようと試みるところにあるように思います。最後の身内に住む父との対話が印象的です。偶然の出会いからの交流の進展が上手いというか自然で、すんなりと話に入れました。

吉行淳之介 | 【2007-02-14(Wed) 02:39:34】
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アイデアを捜せ
アイデアを捜せ アイデアを捜せ
阿刀田 高 (1999/02)
文藝春秋

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アイデアだけでは小説にはならない。頭の中で浮かんだアイデアをどのように熟成させ、一篇の小説にしていくか――。短篇の名手が豊富な自作と、古今の名作を例にとり、自らの創作の舞台裏と、小説作法を語るエッセイ集。小説を書きたい人も、読むだけの人も、必読。意外な発見があることを保証します。

何が面白いかというと頭の中にあるアイデアを実作にどのように展開するかという点が描かれているところです。例えば葬儀に出て思いついたアイデアは、死者の棺に殺した人間のバラバラにした体を入れるというもの。いくつもの葬儀に現れて花束やぬいぐるみを棺に入れて去っていく火葬場の職員は火葬が終わったあと、骨が多いことにきづく……。といったような内容を殺人の動機なども描いて膨らましていきます。アイデアを形にするには技術も必要で書けるようになるまで寝かせることも多いという言も納得です。

阿刀田高 | 【2007-02-14(Wed) 02:22:04】
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後宮小説
後宮小説 後宮小説
酒見 賢一 (1993/04)
新潮社

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第一回ファンタジーノベル大賞受賞作。

面白かったです。
「腹上死であった、と記載されている。」ではじまるこの小説は、依拠する文献まで挙げてみせることで、読者を一気に物語のなかにひき込んでしまいます。しかし、語り口やキャラクター造形はまるでライトノベルのように軽妙。このアンバランスさがストーリーを支えているのではないかと思います。そして、のちに反乱軍を指揮することとなる賊の幻影達・渾沌のエピソードが効果的でこれからどうなるのか期待させます。主人公の銀河の視点(田舎娘で後宮にまったく馴染まない性格)が典型的というか実に現実的で、ある意味、小説内のナレーション以上にマクロな視点だなと思いました。構成的にも、タイトルと内容の微妙な乖離にも『ゼウスガーデン衰亡史』と似たものがあるのではないでしょうか。

酒見賢一 | 【2007-02-05(Mon) 15:08:22】
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ゼウスガーデン衰亡史
ゼウスガーデン衰亡史 ゼウスガーデン衰亡史
小林 恭二 (1999/11)
角川春樹事務所

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払い下げの回転木馬、スマートボール、児童用パチンコ、ハリボテのゴジラ像、そんなみすぼらしいアトラクションを揃えて「下高井戸オリンピック遊戯場」はスタートした。創始者は双子の藤島宙一・宙二兄弟、彼らの卓越した手腕・奇想により「下高井戸オリンピック遊戯場」は「ゼウスガーデン」と名を変えて、ありとあらゆる欲望を吸収した巨大な快楽の王国となってゆく。藤島兄弟の手を離れたあとも、治外法権の獲得、日本国の国家予算を遥かに超える収益をあげて、「ゼウスガーデン」は世界に覇をとなえる一国家として隆盛を極める。果てなき人間の欲望と快楽の狂走を20世紀末から21世紀末までの百年という壮大なスケールで描く長篇。


作中には思いつく限りのアトラクションが描かれ、「ゼウスガーデン」の異常な熱気が伝わってきます。面白いことに、時代とともに(ゼウスガーデンの発展とともに)人間の思考も行動も刻々と変化していきます。そんな人間たちが「ゼウスガーデン」の利権をめぐって滑稽な争いを繰り広げる。アトラクション管理者たちの対立や地域ごとの対立は戦国時代の様相を呈しています。ラストは少々強引というか、こういう風に話を進めるために書いてきたんだろうなと思いました。仰々しいタイトルとは違い、中身は細かいエピソードのオンパレードなので、なかなか読みやすいかと思います。

小林恭二 | 【2007-02-05(Mon) 14:45:22】
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