![]() | すべてがFになる―THE PERFECT INSIDER (講談社文庫) (1998/12) 森 博嗣 商品詳細を見る |
![]() | 黒猫の三角―Delta in the Darkness (講談社文庫) (2002/07) 森 博嗣 商品詳細を見る |
森博嗣のS&MシリーズとVシリーズを読み終わりました。森作品には魅力的な点がたくさんあるんですが、その中でも特に登場人物の描き方が絶妙だと思います。主要な登場人物はほとんど天才か秀才の類です。真賀田四季を筆頭に、犀川創平や西之園萌絵、瀬在丸紅子や保呂草潤平(……一発変換できない人ばかり)などなど。特筆すべきはそれらの人物を内面(独白など)から描いている点にあります。
小説は虚構なので、現実ではできないことでも可能であると思われがちですが、作者の立場にたてば「思考」の部分では自らを超える頭脳の持ち主を内面から描くのは不可能です。自らと視座や視点の違う人物を描くことができても、レベルの高い人物を一人称として書くのはどうしても綻びが見えてしまいます。しかし、森氏の作品は安心して読み進めることができます。それは明らかに頭が良い(この表現の曖昧さは置いておくとして)作者が常に読者の数歩先を歩いているからでしょう。S&MシリーズやVシリーズでは四季の内面を窺い知る程度しかできませんが、これから読む『四季』やGシリーズでどのように描かれているか楽しみです。
と、ここまでは長所ですが、よく言われている通り天才を描くことで弊害も出てきます。作中で述べられている、天才は中庸に妥協せず両極に存在することが可能であるという考えを延長すれば、事件における天才的犯人の動機が後づけでしか処理できないということになってしまいます。つまり、動機が弱いと読者に感じさせてしまうのです。このへんが「すべてがFになる」からはじまる壮大な物語のとっつきにくさではないかと思いますが、壮大な天才物語と並行して魅力的で微笑ましいラブストーリーも進行するので、「すべてがFになる」だけ読んでそのままの人もシリーズ全体を読んでみることをオススメします。


































































