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侏儒の言葉 文芸的な、余りに文芸的な
侏儒の言葉・文芸的な、余りに文芸的な (岩波文庫)侏儒の言葉・文芸的な、余りに文芸的な (岩波文庫)
(2003/02)
芥川 竜之介

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「打ち下ろすハンマアのリズムを聞け」―芸術の永遠に滅びざることをこう表現した芥川は、死の前の4年間アフォリズムの刃を研ぎ澄まし「侏儒の言葉」を書きついだ。一方、谷崎潤一郎との二度の論争に底深く覗いた「文芸上の極北」とは何であったか。最晩年の箴言集と評論集。


 図書館で何気なく借りてきました。
 箴言、アフォリズムを集めた本。なかなか楽しいときを過ごせました。


 適当に例を挙げると、


 危険思想

危険思想とは常識を実行に移そうとする思想である。


 悲劇

悲劇とはみずから羞ずる所業を敢てしなければならぬことである。この故に万人に共通する悲劇は排泄作用を行うことである。


 可能

我我はしたいことの出来るものではない。ただ出来ることをするものである。これは我我個人ばかりではない。我我の社会も同じことである。恐らくは神も希望通りにこの世界を造ることは出来なかったであろう。


 世間智

消火は放火ほど容易ではない。こういう世間智の代表的所有者は確かに「ベル・アミ」の主人公であろう。彼は恋人をつくる時にもちゃんともう絶縁することを考えている。


 或仕合せ者

彼は誰よりも単純だった。


 或夜の感想

眠りは死よりも愉快である。少くとも容易には違いあるまい。


 などなど……。

 読んでいて感じたのは芥川竜之介は純粋なんだなということと、純粋を志向して生きるためには複雑にならざるをえないということでした。その複雑な内面をこうして短い言葉で、しかも文藝春秋の誌上に定期的に載せていたというのは大変なことだったと思います。
 後半の評論には当時の文壇のことも触れられていて、特に志賀直哉の項は私が好きな作家だけにとても興味深く読めました。

(一)志賀直哉氏の作品は何よりも先にこの人生を立派に生きている作家の作品である。
(二)志賀直哉氏は描写の上には空想を頼まないリアリストである。
(三)しかし描写上のリアリズムは必しも志賀直哉氏に限ったことではない。同氏はこのリアリズムに東洋的伝統の上に立った詩的精神を流しこんでいる。
(四)更にまたやはり作家たる僕は志賀直哉氏のテクニイクにも注意を怠らない一人である。「暗夜行路」の後篇はこの同氏のテクニイクの上にも一進歩を遂げているものであろう。




芥川竜之介 | 【2008-05-25(Sun) 22:33:56】
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