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マイケル・K
マイケル・K マイケル・K
J.M. クッツェー (2006/08)
筑摩書房

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2003年にノーベル文学賞を受賞した作家J.M.クッツェーの作品。

内戦下の南アフリカ。マイケルは生まれつき口唇が裂けており、それに頭の回転が遅いという理由で学校から追い出され、残りの子供時代を似たような境遇の子供たちが集まるノレニウス学園で送った。学園で学んだ専門的技術により庭師となったマイケルだが、長く働いた公園から一時解雇を申し渡された。手押し車に病気の母を乗せて、騒乱のケープタウンから母親の生誕した内陸の農場をめざすマイケル。

第一章は、南アフリカの大地を歩きながらさまざまな暴力を受け痩せ細っていくマイケルが描かれている。母親は早い段階で死ぬ。遺灰を持って母親を故郷に返してやったマイケルだが、目的を達成しても今度は自らが生きていくという難題をこなさなければならない。畑を耕し種を蒔くが、いつしかそれは食べるための行為ではなくなっていく。マイケルは空腹のなか、ひたすら眠り現実と夢を往き来して限りなく死へと近づいてゆく。

第二章は、マイケルが病人を収容するキャンプに入るところからはじまる。第一章の三人称ながらもマイケルの独白となっていた形式に対し、この章では病院の若い医師が語り手となっている。まったく食事をとらずほとんど何事も語ることのないマイケルに興味を持ち、徐々に惹かれ、理解しようともがく医師の思考を通して読者は第一章のマイケルの行動を新たに考えていくこととなる。

第三章では病院から脱出しケープタウンへと戻るマイケル視点から描かれる。そこでもマイケルは慈善という歪んだ暴力を受ける。

結局、最後まで救いようのない話と言えばそうなのですが、読んでる側はマイケルの内からも読むことが出来るのであまり悲愴感がありません。
マイケルと周りの登場人物の間には常に大きなギャップがあります。それはマイケルを唯一理解しようと努めた若い医師との間にも厳然と存在します。

内戦や人種差別といったテーマについては何も言及できません。が、この小説はそれらの大きなテーマをやり過ごしてもなかなか面白い作品だと思います。マイケルは南アフリカの社会を背景にせずには生まれ得ない人物ですが、ひとりの人間を描いている以上ひとりの人間のドラマとしても興味深く読めます。


NHKにようこそ! NHKにようこそ!
滝本 竜彦 (2005/06/25)
角川書店

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これまで読んだ滝本作品のなかでは一番良かったです。
特に最後のほうの「救いたい。だけど自分はダメ人間だから」という葛藤がもどかしくも共感を呼びます。作者がこれを書いていて苦しかったというのも頷けます。私は二カ所ぐらい爆笑ポイントがありました。

J.M.クッツェー | 【2006-09-07(Thu) 01:25:49】
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