![]() | 残像に口紅を 筒井 康隆 (1995/04) 中央公論社 この商品の詳細を見る |
もしも日本語の「音」が消えていったら。単純だけど実に刺激に満ちた実験小説。
最近お金がないので図書館で借りて読みました。
「あ」が使えなくなると、「愛」も「あなた」も消えてしまった。世界からひとつ、またひとつと、ことばが消えていく。
愛するものを失うことは、とても悲しい……。
言語が消滅するなかで、執筆し、飲食し、講演し、交情する小説家を描き、その後の著者自身の断筆状況を予感させる、究極の実験的長篇小説。
うやむやな表現でなんとなく書いてみました的な最近の身辺雑記の小説に比べて、この小説がどれだけ魅力的なことでしょう。エンターテインメントの要素も少ないし(氏の他作品に比べて)、小説内のルールも厳格に定義されているわけでもありませんが、純粋に美しい作品だと思います。
物語開始早々から娘が消えてしまうわけですが、化粧をする年齢に達する前に消えた我が子に対して、「その残像に薄化粧を施し、唇に紅をさしてやろう」と主人公が独白するシーンでは不覚にもグッときてしまいました。
老いてもなお新しい表現を切り拓いていく著者の姿勢に脱帽です。
































































